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 3月10日(月)にヴォルテクスのサポーターショップ「スロンチャ」にて神田監督へのインタビューを行いました。ラグビー界のバイブル「ラグビーマガジン」の編集長を務める田村一博さんがヴォルテクスの一年を色々な角度から問いかけ、神田監督がシーズンを振り返り、また、来季に向けて、率直な気持ちを語っています!
 トップリーグを熟知しているラグビーマガジン編集長としての役職、そして早稲田大学で神田監督と同級生である田村さんならではの質問、そして我らが神田監督のトップリーグにかける思いに注目です!


田村さん:率直に、シーズンを振り返ってどうですか?どのようにチームを評価していますか?
神田監督:まぁ上出来だと思いますよ。昇格して1年目なので、10位以内を第一目標として掲げていましたからね。10位以内と設定すると、5勝、勝ち点20が必要となってくるので、そのことも含めての目標として設定していました。最低限の10位を確保でき、世間一般では、言葉上、「残留」という表現になるけれども、私自身の中では、「勝ち残った」という思いでいます。ヴォルテクスの下に4チームいたというのは大きかったですね。

田村さん:結果的に目標に非常に近づくことができたわけですが、シーズン途中、外から見ていると「あれ?大丈夫か?」というような危ない時期があったと感じていたのですが、チームとしてはどうだったのですか?
神田監督:連敗が続いたときは、大きな不安は特にありませんでした。チームとしてのターニングポイントはIBM戦だったのかなと思っています。コカ・コーラ戦で接戦を何とかものにし、年が明けてから「さぁ!これから勝ち続けて目標を達成したい!」とIBM戦に勝ちたかったのですが、IBM戦に対し、「勝てる」という変な自信みたいなものがみんなにあって、その甘い考えが、結果的には非常に内容の悪い試合になりました。IBM戦後、全員が気持ちを切り替えて臨むことになったんだけど、トップを走っていた三洋戦に対して、ぶつかるという意味では、タイミング的には(IBM戦での敗北後であること)良かったのかなと思います。その後のサニックス戦、リコー戦も、IBM戦に負けていなければ、他のところで負けていたのかなと考えたりもします。チームとしての危うさを持っていたと思うと、IBM戦は足元をしっかり見つめ直す良い機会でした。

田村さん:IBM戦に勝てるという思いがあったのは、序盤戦での強豪チームに良い試合をしてきたからですか?
神田監督:それもあると思います。強いチームと良い試合をしてきたので、変な自信を持っていました。また、トップリーグ開幕前にIBMさんと試合をし、非常に良い形で勝ったというのもありましたし、年末のコーラ戦の勝利もあり、ふっと気が抜けたところがあったのかなという気もします。自分たちのラグビーに対しての変な自信みたいなものがあって、やればできるというような…。うーん…、変な自信だったのかな…。

田村さん:実際トップリーグに入ってのキューデンヴォルテクスの戦いぶりは、特に序盤戦は、周囲が思っていたよりも良い戦いができたと思っているのですが、当事者としてはどうでしたか?これぐらいはできるだろうと想定内の考えだったのですか?
神田監督:正直なところ、神戸製鋼さん、NECさんには、「勝とう!!」と思っていました。ワールドカップが終わり、チーム自体の調整や、指導者が変わって初めてのシーズンであることなどを考えると、チームとしては機能しないのではないか?というような感じはしていました。ヴォルテクスも昇格1年目であまり研究されていないだろうという部分もありましたね。何とか序盤戦で、上位のチームに勝って、勝ち点を増やしていきたかったので、神戸戦、NEC戦、トヨタ戦のどこかで1勝できればと心の中で思っていました。

田村さん:正直言うと、外から見ていると「こんなにやるの!?」という驚きがありました。(笑)
神田監督:まぁ、そうでしょうね。(笑)ですが、トップリーグの舞台で戦うために準備をしてきて、練習試合でも神戸さん、東芝さんに良い試合をしてきたので、ある程度の手応えは掴んでいたつもりでした。


田村さん:シーズンを振り返ってみると、外から見てヴォルテクスの良かった部分は、シーズン前に慌てることなく身体の土台作りをしっかりと行い、リーグ序盤にピークを持っていくようなやり方がすごく成功したのかと感じているのですが…。
神田監督:そうですね…。昇格を決める前から、昇格した場合、昇格できなかった場合の年間スケジュールを立て、昇格を決めた時点で、身体の土台作りを行っていこうという方向性となり選手に周知して進めていきました。今シーズンも同じく、残留した場合、降格した場合のスケジュールを立て、スタッフの中だけですが、それに向けての準備は行ってきましたので、そういったところで準備ができているので、慌てることはなかったのかもしれないですね。

田村さん:そのあたりの用意周到さについて、神田監督の元々のキャラクターからすると、「絶対負けない!!」と勝った時のことだけを考えそうな感じがするのですが(笑)「残留」、「降格」の2パターンを考えるというのは、どこから来ているのですか?
神田監督:やはり、エイドリアン・トンプソンHCからでしょうか。彼は、非常に慎重な男で、最悪のパターンばかり考えているところがあります。(笑)その分、しっかりとしていて、プランニングにおいては非常に優秀ですね。

田村さん:そう聞くと、神田監督とトンプソンHCがうまく噛み合って、チームが成り立っていると思いますが、このような体制は、この1年で作り上げたのではなく、年月をかけて作り上げてきたのでしょうか?
神田監督:そうです。彼が日本に来て3年経ちますが、初年度は意思疎通がうまくいかず苦労した部分もありました。彼自身も組織、方向性が全く違う日本に来て戸惑ったと思いますし、その部分は2人で、3年という月日をかけてキューデンヴォルテクスの組織、方向性などを作り上げてきました。私も彼を信頼し、彼も私を信頼しているので、うまくいっているのだと思います。

田村さん:運営面、日常面は、オーストラリアから導入し、日本流にアレンジし上手くいっていますが、実際ピッチの上でなぜ上手くいったのか、対等にやることができたのかという点では、どの部分が一番大きいのでしょうか?
神田監督:今シーズンを語る上で、大きな怪我がなかったというのは非常に大きかったです。春シーズンから、怪我をしない身体作りに取り組んできました。柔軟性を高めたり、体幹を鍛えたりすることで、大きな怪我なく安定した練習ができたので、上手くいったのだと思います。

田村さん:取材している立場として見ると、ボールをなるべく動かすというような、ある程度のヴォルテクスのスタイルが見えていて、自分たちのスタイルを持っていることは良いことだと思っていたのですが…。
神田監督:スタイルと言いますか、アタック面では、まずセットプレーをしっかりと安定させること、ブレイクダウンの練習を重ね、ボールをきちんと出すことを大切にし、それが出来て初めて、ヴォルテクスの攻撃パターンのバリエーションが持てたと思います。一つ一つのセットプレー、ブレイクダウンを一生懸命取り組んだことが、自信に繋がりました。

田村さん:ヴォルテクスのスタイルを浸透させるために、それなりの時間、練習の強度が必要となってくると思うのですが、その落とし込みは上手くいったのでしょうか?
神田監督:分析に力を入れることにより、非常に上手くいっていると思います。選手個々の細かいスタッツをつけ、私とトンプソンHCと選手で毎週個人面談を行う際に、試合映像等を利用して選手にフィードバックしています。また、その映像、スタッツ等も選手が見たい時に見れる環境を整えています。

田村さん:では、練習時間を長くしたりするのではなく、それ以外の部分でインプットし、グラウンドやることははっきりしているということですね。
神田監督:そうです。ですから、シーズン中は、試合の反省と次の試合のプランをミーティングで行い、練習に臨む。そんな感じで効率良く行っています。他チームに比べると練習時間は少ないですし、「こんなに練習しなくて大丈夫かな?」と思うときもありました。

田村さん:現役時代、グラウンドでの練習に長く、たくさんの時間を費やしてきた神田監督にとっては、不安だったのではないでしょうか?(笑)
神田監督:そうですね。本当に不安でしたね。(笑)今思えば、効率良い方法を早く教えてほしかったですね。(苦笑)ですが、落とし込む方法の違いだと思います。

田村さん:良いところが沢山出たシーズンであり、怪我人も少ない状態でシーズンを戦えたと思いますが、例えば、ナイサン・グレイのような必要不可欠の選手が怪我で欠けたりすると、大きくチーム力が落ち、多少なりとも不安は出てくると思うのですが…。
神田監督:次の課題として反省点の中でも上がっていることなのですが、ゲーム数が多い中で、それを戦えるだけの十分な戦力というものを揃えたいと考えています。おっしゃった通り、ナイサンがいない場合のことも考えなければいけないですし、誤解を与えるような言葉ですが、良い意味での「脱ナイサン」、「脱川嵜拓生」とリーダーがいなくとも、次のリーダー達がうまく機能してくれるかどうか、というところが来シーズンの課題なのかなと思ったりもします。

田村さん:そのためには、春シーズンの試合では、意図的に若手などを起用していくことが必要となってくると思いますが、そのような計画はあるのでしょうか?
神田監督:今シーズンはもちろんその方向性で行っていきます。昨年試合に出ていない選手に多くの試合を経験させるために、春シーズンは、試合を多く組んでいます。

田村さん:大きく言いますと、昨年は1stフィフティーンのレベルを高め、今年は1stフィフティーンだけでなく、その次なるメンバー達のレベルも高めなければいけないということですね。そう考えると、大変ですね。
神田監督:確かに、そうですね。今シーズンは、昨シーズンまでPRに外国人選手が出場していましたが、彼が帰国後、田尻亮が本当に良く頑張って良い働きをしてくれましたし、田尻が怪我で戦列を離れた際には、松尾健一が頑張ってくれました。トップリーグに昇格したことで、「トップリーグの舞台で試合をしたい!」という気持ちを持った選手が非常に多くなりました。下部リーグ時は、何となくその流れでやっていたような所もあったのですが、トップリーグで大勢の観客に囲まれ、注目されることで、選手たちは「いつでも自分たちがその舞台に立てるんだ!」という自信、希望を持って練習に取り組んでくれています。


田村さん:話は変わりますが、監督の目から見た今シーズンのMVP的な選手は誰ですか?
神田さん:難しいですね。(笑)先程も言いましたが、PR陣の田尻、松尾健一も非常に頑張ってくれましたし、FLの松本も期待した通りの仕事をしてくれましたし、SOの齊藤も全試合出場し、アタック、ディフェンスともに成長したと思います。うーん…、何より川嵜拓生ですかね。彼は、彼自身の仕事をきっちりとしてくれましたし、トップリーグ昇格できなかった時、昇格できた時もチームを引っ張った意味で、功労者なのかなと思います。

田村さん:全選手がトップリーグ開幕時より、終盤戦の方がたくましくなって、経験も豊富になっていると感じたのですが…。
神田監督:シーズン途中にラインアウトからのモールディフェンスが上手くいかず、得点されることが多く、それを何とか修正しようとLOの吉上を中心として選手たちが集まり、ビデオ分析を繰り返し行って練習に励んだ時期もありました。やはり「負けたくない」という思いが、選手を成長させてくれたのだと思います。

田村さん:さて、来シーズンは、楽しみですか?それとも不安や怖さの方が大きいですか?
神田監督:非常に楽しみですね。今シーズンの経験が身に付き、選手の力になっていると思いますし、オフが明け、3月から始まったウエイトトレーニングは、昨年よりはるかに選手たちが積極的に取り組み、各々が自分自身を追い込んでいますので、期待していますし、楽しみですね。

田村さん:間違いなく、他チームは今シーズンよりヴォルテクスを研究し、ヴォルテクスにとっては、今シーズンより来シーズンが厳しくなってくると思うのですが、そのあたりの対策はいかがですか?
神田監督:そうですね。ですから、先ほど言った「脱ナイサン」、「脱川嵜拓生」の部分になってきますね。キーになってくる選手がさらに多くなると良いと思っています。選手たちのスキル面においては、おそらく昨年以上の向上はできると信じていますし、今ヴォルテクスが取り組んでいることを進化させ、さらなる成長を遂げたいと思っています。

田村さん:キューデンヴォルテクスがさらに進化し続けるために、新たな人材確保という部分も重要となってくると思われますが、どのように考えていますか?
神田監督:会社側の理解、協力もあり、採用の部分においては、ここ数年でも大きく変化していますし、力も入れています。採用の幅も増えてきていますね。キューデンヴォルテクスは、「仕事もしてラグビーもする」という点を大切にしています。このような考え方は、今後も変えるつもりはありませんので、是非その環境でラグビーに取り組みたいという大学生、高校生がいると、こちらとしても非常に嬉しいです。やはりトップリーグに昇格し、ヴォルテクスに来たいという選手も多くなりましたし。

田村さん:シーズンが終わったばかりで、来シーズンの目標を聞くのもどうかと思いますが、ズバリ、来シーズンの目標は?
神田監督:これははっきりとしています。目標は「トップ7」、「7位以上」ですね。


田村さん:来シーズン、キューデンヴォルテクスに是非「大物食い」を期待しているのですが…。
神田監督:それは、7位を目標にする限りは、勝ち点を獲得するためにも必要になってくると思います。上位チームに勝っていかなければ、順位も上がりませんからね。これは、実行できるように頑張ります!

田村さん:ぜひ、お願いします。本日はありがとうございました。
神田監督:こちらこそ、ありがとうございました。


 長い長い神田監督のインタビューは、いかがでしたか?
 インタビュアーを務めていただきましたラグビーマガジン編集長の田村さん、ありがとうございました!!
 1時間に及んだインタビューは、非常に濃いものとなり、文章にするのも一苦労でした。しかし、普段は見ることのできない神田監督の奥深い思い、シーズン中の苦労などが垣間見ることができたのではないでしょうか。
 2008年度の目標は、「トップ7」です!!ヴォルテクスの力だけでなく、ファンの皆さまの力も必要不可欠です。来シーズンを終えた時に、神田監督が再び「良いシーズンだった」と言えるよう、選手、スタッフ共々頑張っていきますので、これからもご声援の程、よろしくお願いいたします。


Irish Pub Slainte(アイリッシュ・パブ・スロンチャ)

アイリッシュパブのお店で、おススメのドリンクは、「ギネスビール」と「アイリッシュウイスキー」だそうです!
ヴォルテクスの試合が遠方であり、観戦に行くことができないファンの皆さまは、テレビでの放送がある際、ギネスビール、もしくは、アイリッシュウイスキーを片手に、試合を楽しんでみてはいかがでしょうか?
マスターもヴォルテクスを応援してくださっています!!


ジャンル  パブ・バー
店名  Irish Pub Slainte(あいりっしゅ・ぱぶ・すろんちゃ)
住所  福岡市中央区赤坂1-3-21 中川ビル1階
電話番号 092-712-8580
FAX番号  092-716-0063
営業時間 月〜木曜・土曜/17:30〜25:00 金曜/17:30〜25:30 
日曜・祝日/15:00〜24:00 
※全曜日スポーツ生中継時は営業時間の変更あり。 
定休日 不定休
駐車場  なし
URL なし
特典  キューデンヴォルテクスの公式戦半券持参でおススメのウイスキー1杯サービス
(ご本人様のみ有効)
メッセージ  まずはモニター観戦から(32インチモニター完備)、
興味がわけばぜひ球技場へ足を運んでください。



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