ヴォルテクスにとって秋季オープン戦第一戦となった本試合は、トップリーグ昇格をかけて戦う可能性の高いNTTドコモレッドハリケーンズと真正面からぶつかる、一時も目が離せないアグレッシブな一戦となりました。
小雨のぱらつく中始まった前半、序盤から両チーム一歩も引かない攻防を繰り広げます。ヴォルテクスは自陣ゴールライン際まで攻め込まれる場面があるも、FW、BK一体となったコミュニケーションのとれたディフェンスでピンチを守り切ります。試合が動いたのは19分、敵陣22mラインでのスクラムからNo.8マクベリー選手が突破し右に展開、連続攻撃となり、SH村上選手、CTB島選手とつないだボールをCTBアトキンソン選手がキックし、相手選手がキャッチしたところをWTB末藤選手がプレッシャーをかけタッチとなり、敵陣ゴール前でのマイボールラインアウトのチャンスを得ます。そしてラインアウトではHO佐藤選手の的確なスローインをLO吉上選手がキャッチしそのままモールとなり、そこからマクベリー選手が持ち出し先制トライを決めます。
その後はヴォルテクスFW陣が激しいブレイクダウンを繰り返しながら気迫のプレーで挑み続けるも、NTTドコモにボールを支配される時間が続き、34分には相手ボールでのラインアウトからモールとなったところを持ち出されトライ。5-5の同点でハーフタイムを迎えます。
ハーフタイムにはBK陣に向けてグレイBKコーチから「ディフェンスでもオフェンスでも攻撃する気持ちでいこう」、トンプソンHCからはFW陣に向けて「全員がアグレッシブになっていてすごくいい。相手ボールのラインアウトでもプレッシャーをかけて」とアドバイスがされました。
ハーフタイム中に雨は完全に上がり、陽が射してきた中で後半がスタート。後半は序盤からヴォルテクスがボールをキープし、ひとりひとりが前に出て積極的に攻め込むも、NTTドコモの連携のとれたディフェンスを前になかなか突破できません。それでも粘り強く挑戦し続けたヴォルテクスは、安定したセットプレーと体を張ったブレイクダウンで徐々に陣地を拡大し、最後は敵陣ゴールラインを目前にしたラインアウトモールからLO浦選手が抜けトライを決めます。齊藤選手のゴールキックも決まりスコアは12-5。
しかし、リードしたのもつかの間、12分には自陣左での相手ボールのラインアウトモールから抜けられトライをすぐに奪い返され、スコアは12-12で再び同点に。取っては取り返される展開となります。その後、ヴォルテクスは我慢の時間が続くも、セットプレーでプレッシャーをかけ続け、活発にコミュニケーションをとりながら疲労がピークに達する中でも激しいディフェンスを継続します。
そんな苦しい状況の中、時おり訪れるチャンスも勝負どころでのミスで活かしきれず、ヴォルテクスのペースに持ちこめません。それでもピッチに立った15人は果敢にチャレンジし続け、37分にはハーフウェイライン上での敵ボールラインアウトからのこぼれたボールをFL松本選手からFL進藤選手へとつなぎ、タックルされたところをノットロールアウェイでペナルティキックを獲得し、齊藤選手が確実にキックを決め、貴重な3点を得て15-12と再びリードします。
ついに勝利を手中に収めたかに見えた試合終了間際、ペナルティーから連続攻撃で徐々に陣地を拡大されます。連続攻撃が続く中でディフェンスの隙をつかれ最後の最後にまさかのトライ。ゴールキックも決められたところでノーサイドの笛が鳴りました。
試合終了後には悔しさに肩を落とす選手たちに監督、コーチ、そしてゲームキャプテンの松本選手から言葉がかけられ、この惜敗を忘れず、次回のリベンジを誓いました。
悔しさの残る結果となりましたが、トップキュウシュウリーグ前半戦でヴォルテクスが積み上げてきたディフェンスシステムは確実に機能し、ミスも少なくコミュニケーションがとれているからこそ、ディフェンスの中でも積極的に仕掛けていくプレーが随所に見られ、チームとして手ごたえのある一戦となりました。